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Blender CyclesとEeVee、より高速で美しいレンダリングへ

Blender Advent Calendar 2018 12/21の記事ですよ。

 

今日は、Blender2.8に搭載されるリアルタイムレンダラーEeVeeについて、実用のコツを紹介しますね。Blender2.8はまだベータ版だから変わる可能性大だよ。

 

今までリアルタイムの恩恵を得るには、「ゲームエンジン用に出力して、あっちでめんどくさい学習コストも高い設定を山盛り行って、ようやく」が現実だったわけですが、これを統合3Dソフト内のレンダラー選択肢に内包してしまったのが、Blender2.8の魅力の一つです。なんとCyclesとEeVeeは使うマテリアルが同じ。最高。

 

いちばん大事な話から書きますが、EeVeeがすごいのは、その機能だけじゃなく、「Cyclesで設定した美しいライティングを元に、EeVeeでそれを再現する。」という手順が踏めるところです。最初から妥協の多いリアルタイムレンダラーで絵作りしてたら、仕上がりはレンダラーに引っ張られます。しかしEeVeeなら、Cyclesで作った目標と比較しながら作り込めるため、可能な限りプリレンダーに近づけることが出来るのです。

 

CyclesとEeVeeの見分けつきますか?

それぞれHDサイズで、Cyclesはおよそ25分、EeVeeはおよそ13秒かけてレンダリングした画像です。

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見分けクイズの正解は 

見比べのポイントは、床板の質感です。Cyclesはレンダリング時に超高密度に細分化してDisplacementMapで凹凸させているのに対し、EeVeeではNormalMapを使用したので、木の板の厚み感に差が出ています。答えは上がEeVee、下がCyclesです。


 EeVeeでCyclesに迫るポイント 

EeVeeの設定には、初期設定から変更するいくつかのポイントがあります。このシーンの再現を行いながらポイントを見てゆきましょう。

 

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・Cycles用のセットアップから、レンダラーをEeVeeに切り替えた状態です。EeVeeでは初期設定が非常に軽量なセッティングになっていますので、ここから必要な設定を追加してゆきます。

 

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・影のボケ(Shadows>Soft Shadows)と、間接照明の計算(Indirect Lighting>Bake Indirect Lighting)を行いました。影をぼかすと、接地箇所の影がほぼ見られなくなりましたね。

・間接照明を使うには、Add>Light Probe>Irradiance Volumeを追加して、設定したい範囲を覆います。

 

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・鏡面反射(Screen Space Reflections)を入れ、Half Res Traceのチェックを解除(透明なものがあればRefractionにチェック)、さらにエリアライトのContact Shadowsにチェックしてボケ加減の調整を行いました。仕上げに被写界深度(Depth of Field)も有効化しています。反射によって 質感が再現されたのと、接地箇所の影や、引き出し付近の影も再現されています。

・高精度の反射を行いたい箇所には、Add>Light Probe>Reflection Cubemap(またはPlane)を追加し、適切な位置、大きさ、Clipping設定など行います。

 

・これで最初に紹介した比較画像の出来上がりです。操作中は、一部の再現にビューポートサンプリングのため「じわっ」と1秒未満かかりますが、ほぼこの品質で通常操作が行えます。もう誰もBlenderを止められない。

 

Cyclesデノイズが高速化するD-NOISEアドオン 

以前、Cyclesに優秀なデノイズが搭載された記事を書きましたが、

 なんとこれよりも高速に動作する、AIが云々(すごそう!)なデノイザーAddonが無料でリリースされました。Addonを追加したらOptiX Binariesをインストールするボタンが表示されますので押しましょう。使い方に迷うことはないと思います。 

D-NOISE: AI-Accelerated Denoiser – Remington Graphics

ただし、環境に注意。

 ということで、Macは残念、GeForce以外は残念。本気のCGマシンはGeForce積んだWindowsがまだまだ主流のようです。

 

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で、これが実力。 ノイズの見比べなので、クリックして拡大してどうぞ。

わかりやすく、レンダーサンプル32という冗談みたいな設定にしましたが、D-NOISE結果(右)はなんとスッキリ。AIヤバイ。もちろんシーン次第で必要サンプル数は違います。

D-NOISEのデノイズはレンダリング後に行われるため、標準デノイズのようにレンダリング時間を伸ばすことはなく、レンダリング後のデノイズ処理もほんの2〜3秒です。おまけに標準デノイズと違ってGPUレンダリングしてもOK。さらに高速化しますね。EeVeeではクオリティ的にどうしてもダメで・・という映像も、Cycles+D-NOISEでバッチリです。

ただし、標準デノイズもD-NOISEも、輝度ノイズは大のニガテ。白点がぼやけて広がっちゃいますので、白点ノイズが出るようなら、光沢フィルターの値を少し上げましょう。

 

止まらない知識欲を満たせ!

最後に電子書籍のご紹介。今年はGOROmanさんのマッハ新書ブームに乗っかって、技術書をいくつか執筆しました。書店売りの本はほとんどが入門者向けですが、これらは趣味で作られた技術書なので、「今アツい尖った内容で、手短に要点だけ」伝える本になっており、作る側、読む側共に無駄が省かれ、執筆も習得も短時間。マッハで学べます。よろしければ、こちらもぜひ。

 

・ライティングがイマイチわからない、Cycles使ってもそんな綺麗に作れない、というあなたにはコチラがおすすめ。

 

・テクスチャーを貼るためにUV展開とかめんどくさい、凹凸のちょうどいいテクスチャーが作れない、SubstanceDesigner挫折した、そんなあなたはマストバイ。

 大丈夫、和牛先生の攻略本だよ⭐️

 

おわりに

Blender Advent Calendar 2018 の記事として、ひさしぶりのブログでした。BlendxJPに2年連続参加してお話ししてきた話もいずれ書きたいと思います。それではまたお会いしましょう。HappyBlending!!!

 

明日は、Hayashihikaruさんの番です。