Blender本を書いたよ。
こんな機会もあるもので、7月13日に発売します、【無料ではじめるBlender CGイラストテクニック ~3DCGの考え方としくみがしっかりわかる】という本を書かせていただきました。今日はこの本のご紹介!
私の欲しかった本を書く。
初代プレステが発売したり、ゲーセンでデイトナUSAが盛り上がったりしていたあの頃。私が3DCGをさわり始めた時には、心の師匠こと駄場寛 著【ダバカンのSTRATAビュンビュン3Dグラフィック】を片手に、沢山の絵を作って独学したのを覚えています。
雑誌記事をまとめた本なので、内容は短くまとまっており、毎回楽しい作例が載っていました。学生だった当時、作風まで強い影響を受けながら沢山の絵を作って遊んだものです。本についたシワも汚れも、自分がそれだけ読み込んだ思い出ですし、実は今でも捨てずに手元に残しています。
しかし、現在書店には当時のような絵作り全体を網羅した3DCG本は見当たりません。ソフトの機能やモデリングのノウハウが高度になり、その解説だけでページが足りなくなってしまうのでしょう。
そこで、今こそ私が書いて初学者の方達に楽しんでもらう、恩返しのチャンスと思い、沢山の作例を添えていつでも手元に置いておきたくなる本を目指して、一年をかけて書き上げました。モデリングに始まり、色や質感の設定、カメラやライトの扱い方、そしてアイデア出しから一枚の絵を作り上げる手順まで、ツール操作の枠を超えて3DCGイラストを作るのに必要な知識をたくさん詰め込み、「これ一冊いつも側にあると便利」という本を作りました。
私にとってBlenderは楽しい画材です。自分のアイデアを、手では描けないほどにリアルに美しく仕上げることが出来ます。
今まで3DCGにチャレンジしようと技術書を手に取り、時間をかけてキャラクターをモデリングして、ポーズをつけたら満足しておしまい。という方も多かったのではないでしょうか?それだけではあまりにもったいないのです。あともう一歩で、もっともっと魅力的な絵が仕上げられるのに…!
私の本ではフィギュアのようなキャラクターを作れるようにはなりませんが、そのかわりにその「あと一歩」を本書がご案内できれば幸いに思います。
▲本の作例とちょっぴり違います。間違い探しわかるかな?
どんな本?
3DCGには難しい印象があるかもしれません。「どこから手を付けていいか分からない」「自分には出来そうもない」など、私も他分野を学ぶ時には同じ不安を感じます。
そこで本書では「3DCGは楽しい」と思ってもらえるように、難しい事をしなくても、最初の一章で絵を作れるようになることを目指しました。積み木やブロックで遊ぶ感覚ですから、作例に縛られることなく自分の絵を作れます。表紙のクマは、この簡単な作り方でも十分絵になるということを伝えたくて、本書の作例に沢山登場してきます。
少し難しそうなことにチャレンジしてでも作りたい形が出てきたなら、先の章を読むことで作り方のアイデアが見つかるでしょう。8章まで特徴的なモデリングの機能と使い所を紹介し、9章ではそれらを応用して作り方を見抜く練習を用意しました。
これらは 順番に読まなくても、知りたいところから読んで大丈夫です。本書では、手順通りに操作するチュートリアル形式を出来るだけ減らし、自分で考えるためのアイデアとして各機能を紹介するよう心がけました。
10章から先は、モデリングの章が読み終わる前にぜひ目を通してもらいたい本書の見どころ、色質感やライティングにカメラの設定といった、絵を仕上げていくレンダリングのためのお話です。 近年、3DCGのレンダリングには物理ベースレンダリング(Physically based rendering またはPBRと略されます)という手法が浸透しており、現実に近い表現が可能になった分、写真を撮るような技術知識が求められます。
「でも、なにを工夫すればよいやら…」と、ここを疎かにしてしまうと、せっかく作ったモデルが台無しです。まさに絵を仕上げていく工程なのですから、考えるための基礎知識を身に付け、時間を掛けて試行錯誤を楽しんで下さい。
ここは私の最も大好きな作業です!
▲全て同じマテリアル(色・質感)ですが、ライティングだけで印象が変わりますね。
▲箱クマにテクスチャを描き足すだけで、まったく違うキャラクターに!
見どころは、
ページをパラパラめくってみてください。様々なアイデアや刺激になるよう、たっっっくさんの作例を作りましたので、とてもにぎやかな本に仕上がっています。いちど全体に目を通しておけば、必要なときに「たしかミノタウロスの作例で・・」「あれはフレンチクルーラーのページに・・」「ひまわりで使ってた機能あれなんだっけ・・」と記憶され、思い出しやすいと思います。
それから、Blenderユーザー達がちょっとした機能のテストに使うあのサル、Blender名物のスザンヌが、主役のクマに負けじと何度も登場いたします。ぜひみなさんもスザンヌの胸を借りて勉強しましょう!(頭しかありませんが…笑)
さらに、身近で楽しいアイデアとして、食べ物のCGが作例に多く登場します。ケーキにドーナツ、クッキーとクッキー型、リンゴにマヨネーズ……?
あ、本書はマヨネーズを作例に載せた、初の3DCG書籍ではないかと思われます!
▲Blenderなら、たっぷりのマヨネーズも簡単につくれるよ!
ゲームエンジンを使う方の基礎学習にも。
ゲームエンジンで作るグラフィックに興味のある方には、物理ベースレンダラーCyclesを使用して、マテリアルやテクスチャの効果、その質感を活かすためのライティングを身に付ける本としてお役に立てるかと思います。また、カメラの被写界深度についても、ぼかし方ひとつでスケール感が変わって見えてしまうため、どういう条件だとボケやすいのか、ボケにくいのかを体験することで、より説得力ある絵作りが可能になることでしょう。リアルタイムの前にまずプリレンダーを知っておくことはとても大切です。
▲ラフネス(粗さ)に貼ったテクスチャと、光沢感の違い。
3DCGを愉しむ人が増えるといいな!
趣味の3DCGを作れるようになるために、専門的な教育を受ける必要はありません。パソコンも安くなり、仕事に使えるだけの機能を持ったBlenderを無料で使うことができます。いまや3DCGは、大人も子供もおねえさんも気軽に始められる、楽しい画材のひとつです!
本書は、書かれた通りにやって同じ結果を得る本ではありません。自分で考えて、作りたい絵を作れるようになるための本として書きました。絵で伝えたい楽しいこと、みんなひとりひとり違うはずですから。
さっそく新しい趣味として、「3DCGイラスト」はじめてみませんか?
本書がそのお手伝いを出来れば幸いです。
blenderで髪の毛を作るアイデア
blenderで大量の毛束ポリゴンを作るアイデア
ポリゴンで大量の毛束を作るのはどうしても手間のかかる作業なので、手順を簡略化できないかと考えたアイデアメモをしておくよ。
いつもの実験台スザンヌさん
解決したい問題
ひとつひとつ作るのが大変。おおまかな流れをまとめて作りたい。
手順
①パーティクルヘアーを使い、少ない本数で毛の流れを仕上げる
②パーティクルをコンバートしてポリゴン化する
③これをカーブに変換
④スプラインのタイプをベジェに
⑤ハンドルを自動に
⑥フィルをフルにしてベベル深度を適度に調整。ポリゴンが細かいのでプレビュー解像度を下げる
⑦コントロールポイントの最後を選択
⑧ピボットポイントをそれぞれの原点に、プロポーショナル編集を接続に
⑨適度な範囲でスケールを0に(Alt+S)
⑩これをメッシュに変換
⑪ポリゴンヘアーの束が出来上がり!
分割数はもっと減らすことも増やすこともできるね。
便利に使えるかどうかは謎。丁寧に作ってブーリアンで一塊にし、ZBrushや3DCoatでスカルプトするベースにしたり出来るといいなぁ。
hand to heart vol.14そらいろぱれっと【初参戦】
4/29、神楽さんのお誘いでハンドメイドイベントに初参戦してきました。
新年会で酔っぱらって、「いっすよ~」なんて軽い返事をしましたが、ハンドメイド作家さんて大変!ってなことを実感する遊びとなりました。なかなか体験できないことは遊び遊び。大変だけど楽しいねぇ~。
今回は珈琲の旅シリーズに限定して、ポストカード絵本を制作。
絵の世界観と現実とを繋ぎたかったので、額縁を珈琲の浜で拾ってくる絵と、実際に珈琲で染めた額縁を用意することにしました。
まず額縁全体に荒いヤスリがけ。その後、飲んで美味しい珈琲豆を贅沢に使用して、まずは煮込み。超微粉が埋まってた感を演出します。次いで超濃厚にドリップした珈琲で丁寧に染めてゆきます。塗って乾かして、塗って乾かして…微粉跡を境目にして濃さを変えています。(大慌てで作業工程のわかる写真撮っていませんでした)
次にポストカードに添える文章。もともとTwitterで一言添えていたものなので、画像の中に差し込むスペースの無い絵もあり、スリーブにラベルを貼ることにしました。これも印刷だけでは味気ないので、珈琲とお気に入りのカップを使って染みをつけます。一枚として同じラベルは存在しません。
もうひとつが、桜コーヒーカップ。お花見シーズンですからねー。
しかしこれまた制作中の写真がひとつもありませんでした。。芯材の上からドロドロに硬化しかけたポリパテを流して幹や枝を作り、台所用スポンジで花を作りました。塗りはベース塗装の上からドライブラシ。
珈琲の液体部分はクリアレジンです。万年筆インクを溶かして着色しています。
そんなこんなで、ハンドメイドらしく手間暇かけた25枚+額装絵5セットと見本が出来上がり。商品お高いので、電子書籍への誘導も準備。印刷された世界でただひとつの見本です。
当日搬入も、ナイスカットミル、コーヒーサイフォン、瓶入り珈琲豆、ネル、細口ポット…と、重たい珈琲グッズ持ち込みタイヘンでした。周りはもっと大量に持ち込んでいたのでハンドメイド作家の体力筋力に驚かされます(笑)
当日は緊張ほぐれてきたあたりでiPadお絵描き開始。チカホ感を描きつつ、同じくポストカード販売していた蜜羽さんのところから“面白い”基準で3枚頂いてきて、蜜羽パンダを取り入れたコラボ絵に仕上げました。大きめ印刷してインテリアにしましょ。
そんなこんなで、完売御礼どうもどうも。
立ちどまって頂いた皆様ありがとーございました!
UE4でLUTを使った色調整をするよ。
UE4マーケットプレイスにLightroomという美しいシーンが無料提供されたんだけど、ここで使われているPostProcessのColorGradingが素晴らしかったので、忘れないうちにメモしておくよ。
・LUT(色対応表)を使うと何が出来るの?
PhotoShopなりを使った色調整の結果を、UE4の画面に反映することが出来ちゃう。
映像だとレンダリング後にAEでカラコレしたり(Blenderユーザーはコンポジットノードを使ったり)するけど、作業中もずっと最終結果の色で見ていられることになるね。
ゲームだから当たり前なんだけど、映像CGに馴染んでると、ポストプロセスエフェクトや色調整がリアルタイムってすんごいなーって。
・おおまかにどんな作業?
スクリーンショットを撮って、PhotoShopなりの調整レイヤーで色調整。この結果を反映させたLUT画像をUE4に読み込むことで、同じ色になるって流れ。単純!すごい!
・手順
まずは以下リンクからLUTの画像(RGBTable16x1.png)をダウンロード。大事に保管しよう。
用意ができたら、UE4の画面をプリントスクリーンしてPhotoShopに持ち込もう。
この時、すでにColorGradingされていると面倒なので、チェック外すの忘れずに!
次に、このスクリーンショット上にRGBTable16x1.pngを配置。
この上に好みの調整レイヤーを重ねて好みの色に仕上げよう。
好みの色が出来たら、LUTのレイヤーをCtrl+クリックで選択した状態で、画像の統合。
コピペして256x16のLUT画像が出来上がり。非圧縮で保存しよう。
これをUE4でインポート。
LOD GroupをColorLookupTableにして、sRGBのチェックを解除。
最後に、ColorGradingのチェックを入れて、自作LUT画像を指定すればできあがり!
これを使えば、極端な話、階調の反転だってできちゃう。すごい~!
取り急ぎこんな感じで使えました。
もっとスマートな手順があったら教えて下さい、書き換えますw
すごすぎるiPhoneゲーム4選+1
近頃またiPhoneのゲームが良作揃いになってきました。
グラフィックがすんごい綺麗で、しかも面白いなんて、ズルい!
Twitterで紹介するだけじゃもったいないのでBlogにまとめますよ。
MONUMENT VALLEY
Release Trailer - Monument Valley Game - out 3rd ...
不思議な世界を旅する、パズルゲームです。
パズルといっても難しくなく、面倒でもない、ちょうど良さ。
美しい映像と音楽で、世界観がすーっと入ってきます。
ずっと浸っていたくて、一気に遊んでしまいました。
クリア後も、何度も繰り返して訪れたくなります。
和紙の質感が上品なパズルゲームです。
タップすると、繋がった同じ色の紙を塗り替えられます。
画面下に指示された手数で、全てを同じ色にします。
1手多くてもクリア出来ますが、くやしくて再チャレンジしてしまいます。
3手で全て塗り替えるには、どうしたら良いでしょう?
悩む加減がちょうど良く、解けると嬉しくて手が止まりません。
シンプルなルールなのに、意外な解き方に驚きます。
【BitSummit】寿司とカニが闘う、海鮮格闘ゲームとは?【EF-12】
eスポーツ対戦格闘ゲーム、EF-12がBitSummitに出展。
それに合わせて行われた、ボスキャラクターデザインコンテスト『エフコン2』に応募した磯臭いお話ですよ。ちなみに、BitSummitはインディーズゲームの集まるイベントだそうな。
日本最大「BitSummit 2014 -京都インディーゲームフェスティバル-」/京都府ホームページ
BitSummit MMXIV: Sound + Vision, Kyoto Indie Game Festival
会場地図を見ると、クアッドアローは出入口すぐの所で展示しているみたいなので、行く予定の方はぜひ。
エフコン2結果発表!
EFCon-2 [2014 BitSummit] | Project [ EF-12 ]
ボスキャラ”Asura”部門 1st – KingCrab(和牛先生 さん)
ということで、私が今回作って応募したキャラクター『KingCrab』(和訳するとタラバガニ)がEF-12に制式採用していただけるそうです!やったー!
追記:海鮮格闘がYouTubeにアップされたぞ!
King crab vs Angry osushi - YouTube
コンテストは2回目
実はエフコン、以前にも東京ゲームショーに合わせて行われました。その時採用していただいたキャラクターのお話はこちら。
【EF-12】格ゲーキャラは自作できるッ!【Blender】 - うしろぐ
僕のキャラクターが東京ゲームショーでデビューするらしい。 - うしろぐ
デザイン
さて今回もデザインは鉛筆から。そのなかで一番シルエットがしっくり来たアイデアスケッチを元に作り始めました。ボスキャラ氏は、有機的なカニ外骨格が防御にも攻撃にも優れているという結論に至った!・・というコンセプト。
iPadで色付きイメージを描いたり、加工ソフトで遊んだり。応募直前までキャラクター名は『カニ男』でした。ファイル名もkaniotoko.blendですw
モデリング直前、通勤時間にiPadを使って、さらにデザインや設定を考えます。ネタキャラっぽいけど、わりと本気なことを伝えるためには、カッコいい要素が必要です。
モデリング
Blender用に配布されたデータを読み込み、同じ構造でベースメッシュを作っていきます。元々は6本腕の阿修羅な素体。ちょっとイメージの掴みにくいポーズですが、従うが吉。
最初はこんな感じで探りつつ。
パーツごとにSculptrisを使ったり、
ZBrushを使ったりしています。
半分は、ポリゴン数削減したものにノーマルマップで転写。しかし、このポリゴン数では規定の10倍位になりそうだったので、手動でリトポしなおしました。このあとBlenderのテクスチャペイントで塗装します。
コンバートと動作確認
一発でうまくいくなんて、そうそうありません。回転がおかしかったり、テクスチャが出なかったり。ちなみにこのまっくろ現象は、配布されたBlenderファイルにNullが含まれていたのが原因でした。
ノーマルマップが正しく表示されない問題も起こりましたが、これは古いコンバーターを使ったのが原因でした。真っ黒の原因を探っているときに、一度古いコンバーターへ差し替えたのでした。
ちゃんと表示されたら、デザインの修正です。モデリングしてる時には実際のポーズやアングルでどう見えるか分からないので、カッコ悪く見えるアングルでスクリーンショットを撮って対策を考えます。ボスなのに横姿がペラくて迫力無いですね。
PhotoShopで描き足して、修正案を考えます。大きな違いは胸部の厚み、太腿からの突起を角度変更(腕に隠れていた)、肘に突起を追加、顔にディテール、といったところです。ついでに暗いステージで目立つための発光パーツも描き足し。
こうなりました。いろいろトガッてて強そうでしょう?
最終モデルをBlenderで表示したものがコチラ。GLSL表示は立派に見せてくれるので、どの程度再現されるのか、得意な表現は何かなど、カンを養う必要がありそうです。
せっかくなので
ボスキャラに応募された寿司が闘う映像が話題になっており、私もうっかり蟹を作っていたので、なんだか雲行きが磯臭くなってきました。
そこで【EF-12北海道物産展仕様】を作って遊んでみたものがコチラ。
もうひとつのボスキャラ素体を元にしたサーモンとイクラ。半透明を自由に設定できないので、イクラの表現が難しいです。今回は追求せずに遊びということで。
Blenderではこんな感じ。 制作のため集めた22枚もの厳選鮭写真フォルダが生臭いです。
また今回は、教えに行っている専門学校の授業にも取り入れ、応募まで漕ぎ着けました。EF-12ならプログラミングが得意でなくても、自作モデルで本格的な格闘ゲームが作れる。この体験はステキ。結果発表ページにいろいろアドバイスも書いていただけたので、皆EF-12でゲームグラフィック経験値稼ごうぜ!